このゲームには色々言いたいことがありすぎるくらいあるので、ガッツリ書き込んでいきたいと思う。でもその前に、一言だけ先に言っておきたい。
私はこのゲームが大好きです!!
だからこそ悔しいし腹が立つのだー!!
と心の限り叫んだところで、まずはシナリオから。
シナリオ★★☆☆☆
元々このゲームは源義経とその郎党たちを基にしたゲームなのだが、正直なところその時点で少し間違っていたように思われる。シナリオ自体は丁寧に作りこまれていて、史実にほぼ忠実に描かれている。キャラ同士の掛け合いも楽しく、主人公の生い立ちなどはホロリとくることもあったりして中々良かった。
にも拘らず何故この評価になるのか、考えられる理由は二つ。一つは史実に忠実すぎたから。
歴史好きな方なら史実に忠実であるのはとても嬉しいことだろうし、プレイしていても楽しめるのかもしれない。むしろファンタジー全開で史実そのものをぐちゃぐちゃに覆すくらいなら、忠実であることは喜ばしいことなのだろう。
でもこれは歴史ゲームではなく(一応)乙女ゲーム。
オトメイト作品の和風物は糖度が低いものがほとんどで、もちろん源狼も糖度低め。それは覚悟していたことなので問題ないが、史実に忠実だったが故に個別ルートに入っても先の展開が読めてしまうというのはプレイヤーにとっては致命的。周回プレイをしていて飽きるなという方が無理な話だろう。
ここで問題になるのがもう一つの理由、攻略対象が義経一派に限られていたということ。
義経一派に拘らることなく、攻略対象がもう少し立場の違う人々だったならもっと楽しめたんじゃないだろうか。
例えば源氏側と平家側でそれぞれ攻略対象がいたとすれば物語の視点も変わっただろうし、それによって主人公やそれを取り巻くキャラ達の心情がより一層わかったかもしれない。あとは吉次側でも攻略対象がいれば(例えば千鳥や白雲が攻略キャラだったら)、戦とは一線引いた立場からの物語なんかも楽しめたかもしれない。
そんな風に物語の視点が個別ルートで変わっていればもっと楽しめただろうし、作品としての評価もここまで低いものにはならなかっただろう。
そう思うと勿体無くて仕方がない。所々泣けるところもあったりしてゲームの出来は悪くないのに、どうしてこうなったという思いが拭えない。
少し考えればわかる問題をメーカー側は本当に気付かなかったんだろうか。キツイことを書いてるのかもしれないが、正直怠慢にしか思えない。良くなる可能性のあったゲームを中途半端で投げ捨てた、そんな気持ちが拭えないのが残念。
ホント、いいゲームなんだけどなー。
キャラクター★★★☆☆
どのキャラもよかったけれど攻略対象は義経一派でなくて良かったと思う。(まだ言うか)
皆好きだけど、どうしてもそんな気持ちが拭えないのでこの評価。
むしろ敵キャラやサブキャラの方がいいキャラが多かった。知盛・教経・敦盛なんかは攻略したかったキャラだし、千鳥や白雲も攻略していたらどんな風になってたかなーとつい考えちゃうようなキャラ。あとは(攻略したくはないけど)宗盛や泰衡もいい味出してたし、国衛なんかも武骨そうだけど好きな人は好きなキャラだと思う。
サブキャラに力入れるくらいなら、攻略キャラに力を入れてほしかった。
スチル★★☆☆☆
オトメイト作品らしく美麗なスチルがほとんどだった。それも和物の源狼に合わせた筆タッチなスチル画がとても綺麗で大満足。
とは言え問題点ももちろんあり、最もひどいのが立ち絵とスチル画との違いが激しすぎること。特に酷かったのは義経・継信・忠信の3人。正直スチル表示されるたびに「どちら様ですか?」と訊ねたくなるほど別人に見えた。その度に気持ちが少しずつ冷めるし、どれだけ萌えてても一気に冷静になってしまう。
とても綺麗なスチルであることは違いないけれど、この差は如何ともしがたい。なので評価は低め。綺麗なだけに勿体無い。
システム★★★☆☆
これは良い点と悪い点と、ぱっくり分かれるだろう。まずは他の方の感想で一番よく見かけた点から。
○ボタンの反応が遅すぎる。これは本当にビックリするくらい遅い。ストレス蓄積させるためにゲームさせてんのかと言いたいくらい遅い。ただシステム設定の中にあるリップシンク設定というのをオフにすると、(他のゲームと比べて)ちょっと遅いかな?くらいのレベルにはなるので反応の遅さがどうしても気になる方は設定をオフにするといいと思う。
あとは既読スキップしても章タイトルが表示されるとストップする、画像鑑賞などで戻るを押すとスタート画面にまで戻る、画像鑑賞からシナリオ再生ができない、などが気になった。
逆に良いなと思ったところは背景画面の美しさ。どこのスチルでも綺麗に雲は流れていき、しかもとてもゆったりとしていて自然な流れ。松明の陽炎や、雨が降ったときには岩に当たった雫までもきれいで映すこだわりよう。木々の間から零れ落ちる木漏れ日は雲の動きに合わせてきらめきが変わるし、海では潮の満ち干きも表され、川ではゆったりとした水の流れが表現されていて、この美しさは背景画像と呼ぶより背景動画と呼んだ方がいいくらいすごかった。ここまで綺麗な背景画像は、これまでプレイしたゲームの中で初めてですごく感動した。
デフォ呼び有で、セリフウィンドウも和風なカンジでとてもきれい。スタッフさん達の拘りを細部にまで感じる反面、悪い点が粗目立ちした気もする。そもそもボタンの反応が鈍くなるくらいなら、目パチ口パク設定は最初からなくて良かったんじゃないかなと思う。色々な意味で勿体無いシステムだった。
BGM★★★★★
これは文句なしにすごく良かった!!これまでの和物ゲームは大抵BGMが現代っぽく感じたり、ゲームの雰囲気に合ってないように感じるものが多かったが、源狼はこれぞ和風と言わんばかりの素晴らしい曲ばかりだった。プレイ終えて即サントラCDを買ったのは、このゲームが初。もちろん好みによって評価は別れるところだとは思うが、私は最高だったと思ってる。
以上の点から、総評は
★★★☆☆
ってところで。
★2つにしようかすごく悩んだけど、とりあえず3つにしておこうと思う。一人ずつのシナリオは問題なく楽しめるからという理由で、最終的にはこの評価で。連続プレイすると相当キツいけど、一人ずつだと泣ける部分や入り込める部分などもあるのでいいんじゃないかな。
でも人には決してオススメはしないけど。そしてそんなことを書いておきながら、私は大好きなんけどね、このゲームが。冒頭にも書いたけど大好きだからこそ、この出来映えは悔しい。もう少しなんとかなっただろう!とプレイしていてもどかしい気持ちで一杯だった。
そして最後に好きキャラ順。まずはプレイ前。
忠信 > 義経 > 琥太郎 > 弁慶 > 継信 > 御影
忠信とか義経とか、もう完全に見た目の美しさで選んでる自分に軽くウケる。そしてプレイ後はこうなった。
御影 >>> 弁慶 >>>> 義経 > 忠信 > 継信 > 琥太郎
御影が最下位からトップにくるとか、自分でもビックリ。御影は攻略に鍵がかかってるのでどうしてもラストにしかプレイできないのだが、プレイしてみて(色々な意味で)ラストでよかったと思った。個人的な感想だけど、御影がいなかったら源狼の評価はもっと低かったと思う。それくらい予想外に良かった。もっとつまんないキャラかと思ってた。(暴言)
かなり辛口な評価になったので源狼好き様たちには納得がいかないかもしれないが、BBAの戯言だと聞き流してくれるとありがたい。